腸内環境を整える乳酸菌のチカラ
腸内環境を整える、ここ最近よく謳われるフレーズです。
腸には消化、吸収、排泄、免疫という大切な機能があります。
便秘がちになる、代謝が悪く太りやすくなる、肌荒れやニキビを起こしやすくなる、風邪などの感染症を発症しやすくなる…これらは全て、腸内環境の悪化で引き起こされます。
更に近年、脳との連携=脳腸相関と呼ばれるもう一つの重要な働きがあることが明らかになってきました。 「腸は第二の脳」と言われる所以です。
脳に次いで神経細胞が二番目に多いとされる腸。それが約2000本の神経線維で脳と繋がっており、綿密に連携しているというのです。*
ストレスを感じるとお腹を下す人がいます。一方で、腸内環境を整えることでストレスを和らげ、睡眠の質を向上させる食品も注目を集めています。**
憂鬱な気分もまた、腸内環境によるものかもしれません。というのも、腸はポジティブな思考や幸福感をもたらすドーパミンやセロトニンを生成にかかわっており、腸内環境が悪いと、これらをうまく合成できなくなってしまうためです。
腸内環境を整えることの重要性を分かっていただけたのではないでしょうか。
では、どうやって腸内環境を整えていくか、考えていきましょう。
腸内改善の強い味方、乳酸菌
乳酸菌は、発酵により糖類から乳酸をつくる微生物の総称で、 人体に有益な菌のため「善玉菌」 と呼ばれています。ヨーグルトの酸味はまさに乳酸発酵によるものだと言えます。
キムチや納豆、味噌などの発酵食品に含まれている乳酸菌は、お腹の調子を悪くする悪玉菌を抑え、腸内環境のバランスを改善してくれます。
ここで強調しておかなければならないのが、「生きたまま」の乳酸菌を摂る必要があるということ。死んでしまった乳酸菌は腸の中で働いてくれません。
乳酸菌を生きたまま腸に届けるには、少し注意が必要です。
菌の種類によりますが、一般的な乳酸菌は75℃以上で15分間加熱するとほとんど死滅してしまいます。つまりキムチや味噌も、グツグツと煮込んでしまうとせっかくの乳酸菌を殺してしまうことになるのです。
ではチーズはどうでしょうか?
健康のためにチーズを食べている方にはがっかりされるかも知れませんが、一般的なプロセスチーズに生きた乳酸菌はいません。
プロセスチーズは原料のナチュラルチーズを75~120℃に加熱しながら乳化剤を加えて溶かし、成形することで作られています。この工程で乳酸菌は死滅してしまうという訳です。
一方で、ナチュラルチーズに乳酸発酵は不可欠です。
乳酸菌は有害微生物の増殖を防ぎ、熟成するとたんぱく質を分解しチーズ特有の味や香りを生み出します。乳酸菌の種類を使い分けるなどして、様々な種類のチーズが今日も作られています。
乳酸菌と一言に言っても種類によってその働きも様々。自分の体に合ったチーズを見つけられると良いかも知れませんね。
乳酸菌はどれくらい摂ればいい?
では、乳酸菌は一日どれくらい摂ればいいのでしょう?
実際のところ、 日本人の食事摂取基準(2020 年版)に乳酸菌の規定はありません。 1日約百億個程度の摂取が研究で示唆されています***が、摂り過ぎた乳酸菌は体外に排出されてしまいます。
つまり乳酸菌は毎日コツコツ摂り続けることが肝要です。
ナチュラルチーズは種類によってばらつきがありますが、1gあたり1,000万から一億個の乳酸菌がいると言われています。
味わいも様々、飽きることなく乳酸菌を摂ることが出来るという点では、ナチュラルチーズは毎日続けるにはぴったりの食べ物かも知れません。
まとめ
今回は私たちの健康に直結する腸内環境と、腸内環境を整えるために欠かせない乳酸菌の話をしました。
美味しく、楽しみながら健康的な習慣が続けられるのがナチュラルチーズの魅力。
チーズを楽しむことでお腹の調子が整い、気分もハツラツに…そんな良い健康サイクルが出来るといいですね。
- *日経Gooday「腸が「第2の脳」と呼ばれる理由」https://gooday.nikkei.co.jp/atcl/column/19/011500002/051200023/
- **「Yakult(ヤクルト)1000 / Y1000とは?」https://www.yakult.co.jp/yakult1000/
- 一般社団法人 日本乳業協会 「乳の知識と情報 乳と乳製品のQ&A」https://nyukyou.jp/dairyqa/
- 厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト e-ヘルスネット https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionaries/food
- ***独立行政法人 国立健康・栄養研究所 「健康・栄養フォーラム」https://www.nibiohn.go.jp/eiken/hn/modules/smartfaq/faq.phpfaqid=1486.html